口は災のもと

 最近読んだ本の内容からの話。


 マイケル・フランゼーゼ氏は1970~80年代、
 ニューヨークのマフィアの5大ファミリーの1つである
 コロンボファミリーに所属し、複数のビジネスを通じて
 週に数百万ドルを稼ぎ、最年少マフィア幹部となった。

 しかし1980年代半ばに懲役10年の判決を受け、
 ファミリーと縁を切り、現在は講演活動を続ける。


 マフィアのビジネスと聞くと暴力的なイメージがあるが、
 マフィアは毎年何千億ドルと稼ぎ出しており、
 その多くが合法のビジネス、
 あるいは法律すれすれのグレーゾーンのビジネスである。

 確かにマフィアの大半は、高校すらろくに出ていないが、
 成功してマフィアの幹部になれる者は
 実業界でも同じように成功できる、とフランゼーゼ氏は語る。

 マフィアで成功する者は「実戦の感覚」とも呼ぶべき
 独特のビジネス的な直感を備えており、
 こればかりはハーバードやウォートンのような
 最高ランクのビジネススクールでも教えてもらえない。

 マフィアは、話し合いのたびに
 「ここで最後を迎えることになるかもしれない」
 と覚悟する。

 赤字を計上したら、別の赤いものの上、
 つまり自分の血の上に横たわることになる。

 実社会で日々身の危険を感じ、
 知り合いがいつ敵に転じるともしれない生活を
 送っているからこそ、鋭敏なビジネス感覚が身に付く。


 マフィアの世界では、正式なビジネスの話し合いを
 「シットダウン」と呼ぶ。

 マフィア同士の話し合いであれば、安全が確保できて
 人目がつかない場所を設定して、問題解決などについて
 「座って話そう(シットダウン)」ということになる。

 つまみと共に白ワインを楽しむような会ではない。

 何百万ドルというカネが動く取引の交渉や
 企業や労働組合に対する敵対的買収の計画、
 裏切り行為を働いた者に審判を下す、など、
 一言間違えれば大金や命を落とすことになりかねない
 シットダウンの場では、高度な交渉術が要求される。


 シットダウンは「マフィア流の会議」だが、
 問題を解決したり、何かを決定したりする時には、
 一般企業の会議よりもはるかに効率がいい。

 重要な会議だからと言われて出席したものの、
 何のために召集されたのかも分からないまま
 2時間が過ぎてしまった、というような会議が
 企業には多いが、シットダウンはそんなことにはならない。

 よほど鈍い人間でもない限り、
 何のために招集されているのか必ず理解してその場に臨む。

 シットダウンでは無駄な会話はなく、
 その一回で必ず結論を出すため、
 事前に準備をして望まなかった者は、
 必ず後で痛い目を見るのである。

 マフィアの世界で長く生き残っている者たちは、
 最小限の言葉で最大限の効果を得ることができる男たちである。
 口を閉ざしべき時を知っているから、長生きできるのだ。
 交渉の場では、まず相手にしゃべらせたほうが有利になる。
 たとえ自分が会話の口火を切らねばならないとしても、
 手短かに要点だけを述べるにとどめる。

 相手の好きにしゃべらせておけば、
 いずれ漬け込む隙が生まれるのだ。
 
 特に、あまりよく知らない人物が相手の時は、
 相手に自由にしゃべらせることで、聞いているうちに
 自分の話をどう組み立てるべきかが見えてくる。


 また、自分が知っていることでもわざわざ質問して
 面と向かって教えを乞う姿勢を見せると
 相手は「こいつは自分よりも格下だ」と思って気を許し、
 そうやって相手を油断させておいて交渉を始め、
 隙をついて斬りかかる。
 「この商談は負ける」と感じた時には、
 負けを相手に悟られるような態度を取らず、
 口数を減らして賢くみせ、少しでも利益を取る。
 古代イスラエルの王ソロモンの格言集『箴言』には
 「話を聞かないうちに答えることは、
  無知の証であり恥と知れ」とある。

 交渉の場では無闇にしゃべってはいけない。

 自分から論争の中に入っていって話をややこしくすると、
 相手がひと言も発しないうちから墓穴を掘ってしまい、
 状況を悪くしたり、命を落としたりすることになる。

 
 

 
聞き上手になり、口を閉じて人の話に耳を傾ければ、
 自然と情報が入ってくる。

 聞き上手になろうと意識していると、
 新しいことを始める時にも事前に情報を集める癖がつき、
 事前に調べたことや入手した情報に基づいて、
 もっといい判断ができるようになる。
 出典は、最近読んだこの本です。
 元マフィア幹部のマイケル・フランゼーゼ氏
 有利に進め損失を避けるための交渉術がわかります。

halcyonoize01
  • halcyonoize01

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