海老です
2021年6月17日
エビデンスは、中身です。 ごくごく当たり前のことなんだけども。 最近ではやたらと、 「エビデンスはあるんですか?」 「エビデンスに基づきまして…」 と、エビデンスという言葉が使われますが、 要は「証拠」「根拠」ということです。 もちろん、あらゆる仕事において エビデンスは重要ではあります。 しかし、ビジネスの現場でエビデンスという言葉が 使われている場合、単純に 「証拠は何かしらありますよ」 という程度の意味でしか用いられていない気がします。 ごくごく当たり前の話ですが、 エビデンスで大事なのは、 「エビデンスがありますよ」ということではなくて、 「そのエビデンスの内容はこれです」という中身です。 だから、何か釈明をしたり提案をする時に、 「十分なエビデンスに基づきまして…」 と説明をしている人がよくいるんですが、 「十分なエビデンスがあるかどうか」はどうでも良くて、 「その十分なエビデンスって、具体的に何?」 という部分が圧倒的に大切なのです。 ここを誤ると、何事もブレが生じてきます。 今日もまた、打ち合わせをしている中で、 「GoToトラベルが新型コロナの感染の原因ですよね」 などと言ってくる変な人がいました。 何を理由にそんなことを言うのかと聞くと、 「エビデンスはちゃんとあります」と言うのです。 「いや、エビデンスがちゃんとあるではなくて、 何をエビデンスにしたんですか」 と聞くと、 「日本医師会の会長がそう言った」と言うのです。 「え、日本医師会の会長があなたにそう言ったの?」 と聞くと、 「いや、記者会見でそう言った」と言います。 そこで、タブレットを取り出して、 ネットニュースを一緒にきちんと確認してみると、 日本医師会の会長が会見を開いたのは事実ですが、 「GoToトラベルが新型コロナの感染の原因だ」 とは言っていないのです。
そもそも会長も「エビデンスははっきりしないが」と
前置きをしていて、
「きっかけになったことは間違いないと、
私は思っている」
と、個人の見解を述べているのです。
そのような会見があって、そのような見解が述べられた、
という事実は情報として伝えるのはいいのですが、
それを「ほら、だから感染原因ですよね?」と言うのは、
全くもってズレているとしか言いようがありません。
という話をしても、その人は何を指摘されているのか
よく分かっていなかったようなので、
「そもそも、日本医師会ってどんな団体なんですか?」
と聞いてみると、知らないと言います。
知らない団体の人が言ってた、という話を
堂々とエビデンスとして言っているのは論外で、
正直、やっぱりその人が一番仕事ができないのです。
そういう曖昧なインプットで仕事を進めるから、
仕事も何かしらズレまくっているのです。
「マスコミがそう言ってました」とか、
「そういうニュースを見ましたよ」などというのも、
エビデンスとしては弱い。
マスコミには各メディアの思惑があるわけだから、
その思惑のフィルターを通した情報をもって
「エビデンスです」と論じるのは、低級すぎます。
「マスコミでこう報じられていますが、
それについてはどう説明されるんですか?」
みたいな反論をしてくる人をよく見かけますが、
反論材料が他にないんだろうな、
という底の浅さが見えてしまいます。
マスコミでこう報じていたとか、
wikipediaでこう書かれている、といったことを
エビデンスとする意識は、非常にズレているというか、
ものすごく危険なことだとわからなければなりません。